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■ルアーのスクール(群)
5本のルアーを流す現在のトローリングのシステムは、有名なフロリダのキャプテン、ボブシュナイダーによって完成された世界共通の標準パターンです。第3波にコーナーショート、4波にコーナーロング、5波にアウトリガーショート、6波にアウトリガーロング、さらに後方60mから80mにセンターロングの5本のルアーを流し、魚のナブラに似せたスクール(群)をイメージして作ります。海域や天候、ボートの種類などによって多少のアレンジがあるものの、基本は変わりません。
一般的にはショートによく動く大型ルアーを曳き、遠くにはおとなしい小さめのルアーを曳きます。シーズン初めのカジキの活性が低い時期や食いの渋い時は、遠くに曳いたおとなしい小さめのルアーにヒットしてきます。トップシーズンのカジキが活発に動くようになって活性が高い時期や食いの立っているときは、ショートの大型ルアーに飛びついてきます。 |
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■どのルアーを流すか
問題は我々がどんなルアーを選ぶか、ではなくて、その海域にいるカジキがどのルアーを選ぶか、であることにこの難しさがある。カツオイメージのルアーにしても、イカベイトにしてもカジキがそのルアーをカツオやイカとして認識しているかどうかはカジキしか知らないことで、所詮我々の推測の域を出ない。
つまり、「こういう海域で(水温や水色、季節等)にこういうルアーを使ったらカジキがヒットした」、という経験の積み重ねから、実証的に判断するしかない。つまりデータを収集しきちんと整理しておくことが重要になる。有名なカジキハンターや漁師、チャーターボートのキャプテン、プロのガイドなどは多くの経験による情報を持っている。
ここでは、様々な人たちの持つ情報や、考えを列挙していきたいと思う。様々な意見の中には一致する部分もあるし、相反する見解も出てくると思うが、世界の海を気ままに旅する気まぐれなカジキのこととてご容赦下さい。 |
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■カジキと紫外線
昔たった一人の学者が死んだカジキやカツオの目の網膜に電極をつけて、色に反応しないからカジキやカツオは色盲であると言ったことが定説のようにささやかれているが、果たして本当なのだろうか。子供の頃、「昆虫の複眼では、白黒の小さい同じ画像が何百と集まっているように映る」と教わった。しかし、最近の研究では、そんな見え方はしないらしいことがわかってきたそうだ。思いのほか多くの色(特に紫外線
ultraviolet-ray)を認識しているらしい。
また、釣りをしていて同じ色のルアーにばかりヒットしてきた経験は多くの釣師が持っているはずだ。漁師はカジキやカツオは眼がいいという。何百年もカジキやカツオを追いかけてきた漁師や世界中のビルフィッシャーや釣をしている自分自身が感じていることと、どちらを信じるかということになれば、カジキやカツオは色、特に紫外線領域、に反応すると信じていたほうがいい。
カジキやカツオが死ぬ瞬間、きれいなコバルトブルーの発色(警戒色)をするが、色盲であればその必要もないわけだ。光の波長で言うと、あのコバルトブルーの波長の次にあるのが、人には見えない紫外線だ。カジキやカツオはその紫外線をよく認識するという。コバルトブルーと同じように光っている、人に見えない紫外線もカジキにとってはおいしそうな色に映り、カツオにとっては、警戒色に映っているのだろう。貝や角などの天然素材は人に見えない紫外線を映すことで、カジキが興味をしめすのではないだろうか。
*紫外線とは目に見える可視光線よりも波長の短い光線で、約400〜数ナノメートル(10憶分の1メートル)です。
人間の目には見えませんが、昆虫は紫外線域を中心に色を見ていることがわかっています。
海中では、ほぼ深度30mで太陽光のうち長い波長の光(赤外線や赤色)が届かなくなり、より深い所では青一色の世界になります。海水が波長の短い光(紫外線、青色)しか透過しないからです。水深50mから200mの間で人間に見える可視光線はまったく届かなくなりますが、より波長の短い紫外線はまだ届いています。
つまり、海中では紫外線を感知する眼を持つことが生きていく上でより優位になるわけで、当然そのような進化をしているはずだ、と思われます。カジキの眼を持つ、ということは、紫外線を見る眼を持つ事ことだ、と言えるかもしれません。 |
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■日本の海と、外国の海
日本の暗い海(潮)では外国のルアーでは釣れないという言葉を聞くことがありますが、太平洋岸においては黒潮の色はあたりまえだが同じですし、カジキのいる海域の色は世界のどの海もさほど変わりません。
違うのは日差しの強さと照射角の違いです。もちろん沿岸数マイルの潮の色はちがうようです。カジキも他の回遊魚もそれぞれの回遊水域は決まっています。
日本のカジキだけが特別な海にいるわけではありません。外国のカジキも日本のカジキも同じ条件の海にいます。ハワイのコナ沖にいるカジキもゴールドコーストにいるカジキも与那国や日本の沿海にきているカジキと同じなのです。
(太平洋のカジキと大西洋のカジキは種として区別がなされていますが、北半球と南半球では区別されていません。)
KIFT、フォーレルの海水水色計 (KIFT仙台HP)
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太陽を背にして海面と照らし合せて見比べてください。
マグロ、カジキ類、本ガツオは水色5以上でないと居ても喰いません。
メジ類は5.5でも何とか喰います。
ブリ類(ワラサ、イナダ)ヒラマサ、本サワラ等は5.5〜6.5位が良く喰います。
(KIFT) |
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■日本の曳釣りと、トローリングの違い
日本の曳釣りはカツオ、マグロ、サワラなどを釣るために発達してきたのに対して、外国のトローリングはカジキを釣るために発達してきました。日本も外国も魚釣りそのものに大きな違いがあるわけではありませんが、たった一つルアーに対する考え方が大きく違うようです。
日本の伝統的な漁師のルアー(カグラ)はルアー自体が水中で動くようには作られていません。そのためルアーを逃げ惑う魚のように動かすために、尻を振るトンボや跳ねるバクダン、横振りする潜行板といったルアー(カグラ)を動かす補助具を使います。それに対して外国のルアーはルアーヘッドに様々な形状を持たせて、ルアーが水中を曳かれたときに、変化のある動きをするように設計されています。一般的に外国では、ルアーの前にはティーザー(トンボや潜行板、ラビット等も)は使いません。それらがルアーの持つ動きを相殺して殺してしまうことがあるからです。ティーザーは別のラインで曳くことが基本です。この点をよく理解し、使い分けることが大切です。実際、日本ではラビットや潮切りヒコーキや、ティーザーをアウトリガーのルアーの前につけて曳くことで成果を挙げています。
※日本の動くルアーといえば弓角、テンテン、シャビキなどがありますが、動きのいいのは5ノットくらいまでです。 |
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■ルアーの命はアクション
どんなにすばらしい輝きであっても、高価な素材であっても、アクションが悪ければ、カジキは食ってきません。アクションを決めるのは、
1.ルアーヘッドの形状と重さ、
2.スカートの形状と長さ、
3.シングルフックかダブルフックか、の3点です。
それにボートのスピードと引き波、うねりの大きさ、ティーザーの有無と種類等、によって流したルアーのアクションの良し悪しが決まります。ルアー選びで最も重要なことは、実際にその海で流したときにいいアクションをするかどうかです。
■カジキの活性に合わせたアクションのルアーの選択
砲弾型(バレット)のルアーは水中をスイスイ泳ぐのが得意ですし、コナヘッドは水面でスプラッシュをあげたあと、水中に潜り、回転しながらよじれるように泳いで、数秒後再び水面でスプラッシュをあげます。
他にもストレート、ジェット、カット、ドアノブ、チャガー、扁平など様々な形があります。カジキの餌となるベイトの種類や、活性、泳層を推測しながら、いくつかの種類のアクションのルアーを組み合わせて選択します。 |
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