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PEラインで両軸リールをご使用の際はご参照ください。
巻く力の違い以外は同じです。
目次
スピニングマーリン PEマーリン
1. スピニングリールとロッド
■2. PEライン・ダブルライン・ワインドオンリーダー

■3. スピニングリールのドラッグ設定

4. 大切な事前のドラッグ調整
5. ヒットした時のドラッグについて
6. ヒット時のファイトとボートの操船について
■7. カジキとのファイト
■8. スタンディングファイト 正しいスタンディングファイト
■9. スタンディングファイトとチェアファイトの違いは力の方向
■10. ランディング
■11. リーダーをとることは危険なこと
12. ギャフ打ち
 
スピニングマーリン PEマーリン

ここ数年でスピニングリールでのマーリントローリングが盛んになってきています。
巨大なカジキにライトタックルの スピニングリールでファイトする爽快感はアングラー魂を揺さぶります。
大型の両軸リールに比べるとはるかに小さくて華奢なスピニングリールですが、近年のドラッグ性能はすばらしく向上し、またPEラインが強度をアップさせてラインキャパを格段に増やし、200kgを超すカジキとの数時間のファイトをも制することができるようになりました。
スモールボート、ライトタックル、スピニングマーリンは、これからのカジキ釣りの一つの流れになるだろうと思います。

大型両軸リールであれ、スピニングリールであれ、カジキのトローリングについては釣り方の基本はまったく同じです。違うのはナイロンではなくPEラインを使うことと、両軸に比べてスピニングリールは巻く力がない点が違うだけです。またスピニングマーリンにおいてはスタンドアップファイトも増えています。

 
■1. スピニングリールとロッド

カジキに使うスピニングリールはステラ30000番、20000番、ソルティガなら7000番8000番のPE5号が500〜600m以上巻けるものを使います。
ロッドはガイドがローラーガイドではなくリングガイドのものを使います。ラインが緩んだ瞬間にローラーガイドの横の隙間にに絡むことがあるからです。スピニングリールは巻く力がないゆえに、またPEラインは伸びがないためにロッドは柔らかめのものが使いやすいとされています。スピニングトローリング専用ロッドは、カーペンター、トップガンフィッシング、インザストリームなど数社から出ていますがマーリン用スピニングロッドならどれでもOKです。硬さやカーボンの癖などを好みで選べばいいです。短めの160cm〜210cm位のマグロロッドやGTロッド、ジギングロッドでも代用できます。7kgの負荷を長時間リフトできるロッドであれば充分ですが、硬いロッドはバラシやすいです。
また、ロッドのトップが柔らかすぎるとルアーを曳くときの負荷で負けてしまうのでトップは柔らかすぎないものを選んでください。

 
■2. PEライン・ダブルライン・ワインドオンリーダー

PEラインは最低5号を500m〜600m以上巻いてください。記録申請が可能なIGFA 80lbクラスの5号がサンラインから出ていますのでこれをおすすめしています。あまり安いものは合わせ切れすることがあるので高くてもいいラインを使ってください。マグロ兼用で考える場合は6号でもいいですが巻けるラインが短くなります。最低でも6号を500m巻けるリールで考えてください。
PEラインの先はビミニツイストで30〜80cmほどのダブルラインを組んで、極細のオールダクロンのワインドオンリーダー3.2mまたは5mを付けて最後の寄せに耐えるようにします。3.2mはIGFAのルールで、3連バードやヒコーキなどのラインティーザーを使うときに使います。それ以外はワインドオンリーダー5mを付け、先端にスナップスイベルを付けます。

 
■3. スピニングリールのドラッグ設定

E5〜6号の場合 ・標準トローリング時値5.5kg ・ファイト時値7kg ・マックスドラッグ10kg

PE5〜6号の場合はトローリング時のドラッグ値は5kg〜5.5kgにセットしてください。カジキのランが止まってファイトを始めますがその時ラインが出ていくようならドラッグは8kgくらいまであげてもいいです。それ以上ドラッグを強く締めてもアングラーが重いと感じるだけでカジキにとってはさほど違いません。またドラッグ値をあげすぎるとカジキはジャンプしたがります。ジャンプして首を振るとフックが外れやすいのでドラッグ値は強すぎないほうがいいです。“バラシ回避ポイントその1”です。
 
■4. 大切な事前のドラッグ調整
5.5kgにセットされた状態からドラッグを8kg、あるいは許容最大値の10kgまで上げるにはドラッグレバーをどれだけ回したらいいか確認しておきます。たとえば自分のソルティガ8000Exの場合は5.5kgのドラッグに設定して90度ドラッグを回すと7kgになります。また180度回すとドラッグ値が8.5kgになります。ツインドラッグなのでドラッグが締まるのが早いようです。旧型のステラ20000番は5.5kgを7kgにするには2270度回しました。
それぞれのリールのドラッグを回した時にどれだけドラッグ値があがるのか覚えておく必要があります。リールごとに少しずつ違うのですべてのリールで確認しておいてください。
 
■5. ヒットした時のドラッグについて
カジキがヒットしてラインが出ていくときは、スプールのラインが減るのがすごく早くて今にもラインが無くなりそうになってドラッグを締めたくなりますが、この時は絶対にドラッグを締めてはいけません。スプールのラインが小さくなった分だけドラッグは強くなっているのです。ライン径が半分になればドラッグ値は倍になります。
カジキが走っているときはどんなにドラッグを締めてもカジキを止めることはできません。ドラッグを締めすぎればいとも簡単にラインが切れます。 ラインが全部出てもすぐに切れるわけではありません。ドラッグを締めずに最後まで耐えるようクルー全員に注意しておきましょう。
ラインが出ていくときは、決してPEラインにあたらないように注意してロッドを持ってください。ラインが出ているときのPEはカミソリと同じくらいよく切れます。グローブもすっぱり切れますから注意して扱ってください。
ファイトを始めるときはドラッグを8kgくらいまであげてもいいです。そのときドラッグをどのくらい回せばよいかを事前に確認しておきます。最初の設定時ではどんなにドラッグを締めても10kgまでです。その時、どのくらいドラッグを回すか覚えておいてください。どんなにドラッグを締めたくなってもそのドラッグの締め位置より締めてはいけません。それ以上ドラッグを回したら切れます。PEラインはドラッグを締めすぎると簡単に切れます。もう一度言っておきますが、ラインが少なくなるとドラッグ値は設定より高くなっていきます。ラインの径が半分になればドラッグは11kgまであがっています。初めの設定が7kgなら15kg、ほぼマックスドラッグに近くなっています。
 
■6. ヒット時のファイトとボートの操船について
アングラーはカジキがヒットしたら、すぐにロッドを持ちファイトに備えていなければいけません。アングラーはラインが止まると同時に巻き始めてファイトを初めてください。カジキのランが止まるその瞬間にラインが緩みフックオフすることが多いのです。カジキが止まった瞬間のテンションがゆるむ前に巻き始めなければいけません。そこで巻き始めるのが遅いとフックオフします。“バラシ回避ポイントその2”です。
クルーは他のタックルを回収してキャプテンはボートでカジキをおいかけます。
キャプテンはタックルの回収がすんだらアスターンをかけてカジキを追いかけます。カジキのランが止まらなくても他のタックルが片付いたらアスターンでカジキを追いかけます。PEラインは出るのが早いうえにスピニングリールはラインキャパが少ないのでのんびりしている暇はありません。ボートがアスターンをかけた時にラインにテンションがなくなるとフックオフしますから、キャプテンはラインの様子ロッドのしなり具合アングラーの巻具合を見ながらボートを操船してください。セカンドランに備えて最低でも残り300mのラインがスプールに残るまでは速やかにカジキを追います。セカンドラン、サードランで300m近くラインを出されることもあります。 タグを打つならそのままカジキとの距離を縮めて一気に寄せることもありますが、一般的にはカジキとの距離100m〜200mの間でファイトしてカジキをバテさせます。
 
■7. カジキとのファイト
スピニングリールは巻く力がないのでポンピングで寄せて巻きます。ロッドを立てる時にラインが出ていってしまうときでもドラッグは決して締めないで、スプールをサミングして止めてください。ロッドを充分に立てて反発力を使ってポンピングしてください。このとき25ft位の小型ボートだとカジキが寄らずにボートがカジキに寄っていきますがそれでいいです。そのままかまわずファイトを続けてください。ファイトを休むとカジキはいつまでたっても元気なままでランディングが大変になります。カジキを休ませないようにプレッシャー、テンションを与え続けることが大切ですからアングラーが休んではなんともなりません。またカジキはボートに向かって泳いてくることがありますが、絶対にラインのテンションが緩まないようにアングラーは急いで巻き、キャプテンはボートを前進させてラインのテンションを常にキープします。カジキに刺さったフックはだんだんとカジキに大きな穴をあけて、フックは穴に引っかかっているだけになっていますからラインが緩むとフックは簡単にはずれます。バーブレスフックを使っていると思ってラインテンションをかけ続けてください。“バラシ回避ポイントその3”です。
ファイト時間は30分から45分が目安です。カジキに30分以上プレッシャーをかけ続けると弱ってきます。 あまり早く寄せるとカジキが元気すぎてリーダーをとってから大暴れします。カジキが簡単に寄せられてくる場合は、カジキとの距離が50mに近くなったらボートを前進させて100m位離れてファイトを続けてください。カジキとの距離が近いとカジキが暴れた際にフックが外れる確率が高くなります。
しかし、1時間以上プレッシャーを与え続けるとカジキは死んでしまい、海中に沈んでいくことがあります。45分過ぎたら1時間以内にキャッチするように最後の詰めの間合いをとりましょう。死んで水中に沈みだしたカジキをロッドであげるのはもう無理なのでラインを手繰ってあげるしかないですがナイロン80lb以上でないとあがらないと言われていますが、細いPEでは大変です。ラインを切るしかないかもしれません。しかしなかには4時間も5時間も元気にファイトが続くカジキもいます。この時間の目安はカジキの個体差によっても、プレッシャーの度合いによってもかわります。一般的な目安です。
 ※ファイトを始めたら必ずファイティングフラッグを掲げましょう。
このフラッグを掲げているボートの500m以内には近寄ってはいけないというルールがあります。
 
■8. スタンディングファイト 正しいスタンディングファイト
スピニングマーリンをする方のなかにはスタンディングファイトを好まれる方も多いです。チェアファイトと違って体が不安定になりますがカジキの力がストレートに伝わってきますのでファイトを堪能できます。
スタンディングファイトは手や腕の力でファイトするわけではありません。手や腕の力で100kg200kgのカジキとファイトするなんてどだい無理な話です。ファイトの力は足腰から生まれるのです。足腰なら自分の体60kgを1時間以上移動させる力があるのです。カジキに引っ張られたらスピニングリールのハンドルを巻くことすらできませんから、ポンピングが必要ですがそのポンピングを手と腕で行ったとしたら15分も持たないでしょう。スタンディングのポンピングも足腰で行うのです。

 

■9. スタンディングファイトとチェアファイトの違いは力の方向
スピニングマーリンをする方のなかにはスタンディングファイトを好まれる方も多いです。チェアファイトと違って体が不安定になりますがカジキの力がストレートに伝わってきますのでファイトを堪能できます。
スタンディングファイトとチェアファイトの違いですが、スタンディングファイトは垂直のファイトに向いています。足の屈伸は垂直方向の力だからです。マグロのように深く沈んでいて上に浮かせるようなファイトを得意とします。
チェアファイトは水平方向のファイトに向いています。前に伸びたステップに足をかけて体を寝かして水平にし、足を屈伸すると水平方向の力が生まれます。 カジキは表層を遠くに走るので水平方向のファイトを必要とするからです。スタンディングファイトでは水平方向に走るカジキのファイトには向いていないので水平方向のファイトができるトローリングチェアが開発されたのです。
チェアファイトの基本姿勢はステップに足をかけて、ロッドのラインを水平方向に曳いてドラッグを上げるとライン方向にロッドがひかれて尻が浮いた状態でバランスがとれます。尻がチェアから浮いた状態で足の屈伸運動をすると水平方向のファイトができるのです。この状態はいわゆる水平方向のスタンディングファイトの状態です。極言すればチェアファイトに必要なのはステップだけあればいいわけでチェア自体は無くてもいいのです。ただし近年はロッドを引く力(ドラッグ値)が6kg7kgと低いので成人男子の体重だとなかなか尻が浮きません。)
スタンディングファイトで水平方向の力が必要なカジキを釣る場合には、足の屈伸の垂直方向の力を水平方向の力に変えなければいけません。それに必要なのがロッド、ジンバル、ハーネスで出来る三角形なのです。
スタンディングファイトに必要な道具はジンバルベルトとハーネス+ロッドハーネスベルトです。ジンバルベルトはロッドのエンドを支えるもので、無いとロッドエンドが不安定なうえに体が痣だらけになりますから、最低限これだけは必要です。ハーネスはロッドを腰や肩から支えるもので、あれば必要に応じてロッドから両手を放すことができるのでシングルハンドでは必須、クルーがいても安全のためにもあったほうがいいです。ボートが揺れたときにロッドリールから手を放して体を支えることができます。 ロッドハーネスベルトはハーネスとロッドをつなげる30cmほどのベルトです。
スタンディングファイトの姿勢と位置はボートにもよりますが、基本はアフトデッキの後ろの角に膝と体を突っ込み、後ろと横へ膝を踏ん張って角に体を押し付けるようにホールドします。構造上それができなければ左右どちらかのヘリに体を押し付けるようにホールドしたほうが体が安定します。そういう意味ではバウでファイトするのは体をホールドする場所がないので不安定です。 クルーがハーネス等を掴んで後ろから支えるのもいい方法ですが、IGFAルールではファールとなります。
また水平方向のファイトなので例えばラインが切れたり、テンションが急に無くなったらアングラーの体は後ろに吹っ飛びます。アングラーの後ろには危険なものを置かないようにしましょう。大型のクーラーを置いておけば後ろに落ちてもそのままクーラーにしゃがみ込めますから安心です。
 
■10. ランディング
30分過ぎてカジキの様子を見てカジキが弱ってきたようであればランディングです。 カジキが弱ってくると寄せることが簡単になってくるのでランディングの準備をしてください。その際にもカジキから50m以上距離をおいて寄せの準備と確認をしてください。
 リーダーグローブは用意できているか。
 ギャフ、または銛のロープのエンドがボートにくくられているか。
 カジキを締めるバットは用意されているか。
 デッキ上に余分なものはすべて片付けられているか。
 回収したルアーや危険なフックなどがないか。
 などの準備や安全を確認します。

準備が整ったらランディングです。アングラーも気合を入れて最後の寄せをしてください。ボートまで残り10mくらいになるとカジキがボートに寄るのを嫌がり始めることがあります。しかしここであきらめてはいけません。耐えて寄せます。どうしても寄らないときは一瞬アスターンをかけてリーダーが取れるところまで寄せて、そのタイミングを外さないようにリーダーを取ります。リーダーを取るくらいの時にはキャプテンはデッドスローで、前進を入れましょう。そうすることによって、カジキも一緒に進行方向に泳ぎます。ボートの下に入らなくなります。リーダーマンは決して力いっぱいにカジキを引き寄せないように心がけましょう。リーダーを持ってカジキがジャンプしている写真を見かけますが、それはけっしてよい事ではないと思います。カジキを暴れさせないことが大切です。極細のワインドオンリーダーは手に巻かないほうがいいのでリーダーを取って送ってスピニングに巻き込んでもらいます。ナイロンリーダーは手に巻いてもいいですが巻き方を間違えないようにご注意ください。

 
■11. リーダーをとることは危険なこと
カジキは大きくて驚くほど重いです。リーダーをとって引いても手の力では簡単には浮いてきません。しっかりリーダーを手にとって腰をいれて腰の力であげるようにして初めて力が入って浮いてきます。この感触を陸の上で実感しておいてください。リーダーを持って30kg、50kgのものをずり上げる感覚です。 カジキのリーダーを取って寄せることは危険なことです。この時にカジキに走られたり暴れたりされて大けがをすることがあります。カジキが暴れたときに自分の手からリーダーがスムースにはずれるようにリーダーの取り方を確認しておいてください。
 リーダーの取り方やカジキ釣りの全体の流れは、
 ヤマハ発動機のマリンライフ>カジキ釣り講座等を参考にしてください。
 http://www.yamaha-motor.co.jp/marine/life/billfish/
 YouTubeのカジキのランディングシーンなども参考になるものもあります。
 
■12. ギャフ打ち
カジキが寄ったらギャフか銛を打ちます。頭の固いところには刺さりません。腹の柔らかいところは抜けやすいです。肩や背中に打つのがいいです。銛はIGFAルールではファールになりますが、ギャフよりはるかに簡単です。銛なら片手でリーダーを持ったまま打つことも可能です。銛でもギャフでもしっかり奥まで入るように気合を入れて打ち込んでください。銛が外れてカジキが流されることがあるので、しっかりギャフや銛が入ったことを確認するまでリーダーは緩めないほうがいいです。ギャフのロープを引いたときにフックがポロッと外れることが多いです。フックは穴に引っかかっているだけだということです。
ギャフや銛を打ったらビルを掴みます。ビルはザラザラなので必ずグローブをしてビルを取ってください。それからバットでカジキの頭を叩いて締めます。締めるとカジキの体色が瞬間コバルトブルーに輝きます。落ち着いたらギャフや銛のロープをビルにハーフヒッチで3〜4回巻いてビルを固定すればカジキはロープから離れません。フックが外れるようなら外し、ロープを引いてボートに乗せます。カジキは重いので気合を入れないとボートにはのせられませんが頑張ってください。150kg以下なら2人でのせられます。信じないとのせられません。
カジキを乗せたらビルと下あごを細い紐でくくっておきます。テールを釣り上げて計量しますがそのときに口から内臓が出てくるのを防ぐために必ず括っておいてください。
マリーナに戻るときはマーリンフラッグを高々と掲揚して凱旋帰港しましょう。
迎える側も帰る側も気持ちがいいものです。
 
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