■3. スピニングリールのドラッグ設定
ここ数年でスピニングリールでのマーリントローリングが盛んになってきています。 巨大なカジキにライトタックルの スピニングリールでファイトする爽快感はアングラー魂を揺さぶります。 大型の両軸リールに比べるとはるかに小さくて華奢なスピニングリールですが、近年のドラッグ性能はすばらしく向上し、またPEラインが強度をアップさせてラインキャパを格段に増やし、200kgを超すカジキとの数時間のファイトをも制することができるようになりました。 スモールボート、ライトタックル、スピニングマーリンは、これからのカジキ釣りの一つの流れになるだろうと思います。
大型両軸リールであれ、スピニングリールであれ、カジキのトローリングについては釣り方の基本はまったく同じです。違うのはナイロンではなくPEラインを使うことと、両軸に比べてスピニングリールは巻く力がない点が違うだけです。またスピニングマーリンにおいてはスタンドアップファイトも増えています。
カジキに使うスピニングリールはステラ30000番、20000番、ソルティガなら7000番8000番のPE5号が500〜600m以上巻けるものを使います。 ロッドはガイドがローラーガイドではなくリングガイドのものを使います。ラインが緩んだ瞬間にローラーガイドの横の隙間にに絡むことがあるからです。スピニングリールは巻く力がないゆえに、またPEラインは伸びがないためにロッドは柔らかめのものが使いやすいとされています。スピニングトローリング専用ロッドは、カーペンター、トップガンフィッシング、インザストリームなど数社から出ていますがマーリン用スピニングロッドならどれでもOKです。硬さやカーボンの癖などを好みで選べばいいです。短めの160cm〜210cm位のマグロロッドやGTロッド、ジギングロッドでも代用できます。7kgの負荷を長時間リフトできるロッドであれば充分ですが、硬いロッドはバラシやすいです。 また、ロッドのトップが柔らかすぎるとルアーを曳くときの負荷で負けてしまうのでトップは柔らかすぎないものを選んでください。
PEラインは最低5号を500m〜600m以上巻いてください。記録申請が可能なIGFA 80lbクラスの5号がサンラインから出ていますのでこれをおすすめしています。あまり安いものは合わせ切れすることがあるので高くてもいいラインを使ってください。マグロ兼用で考える場合は6号でもいいですが巻けるラインが短くなります。最低でも6号を500m巻けるリールで考えてください。 PEラインの先はビミニツイストで30〜80cmほどのダブルラインを組んで、極細のオールダクロンのワインドオンリーダー3.2mまたは5mを付けて最後の寄せに耐えるようにします。3.2mはIGFAのルールで、3連バードやヒコーキなどのラインティーザーを使うときに使います。それ以外はワインドオンリーダー5mを付け、先端にスナップスイベルを付けます。
E5〜6号の場合 ・標準トローリング時値5.5kg ・ファイト時値7kg ・マックスドラッグ10kg
準備が整ったらランディングです。アングラーも気合を入れて最後の寄せをしてください。ボートまで残り10mくらいになるとカジキがボートに寄るのを嫌がり始めることがあります。しかしここであきらめてはいけません。耐えて寄せます。どうしても寄らないときは一瞬アスターンをかけてリーダーが取れるところまで寄せて、そのタイミングを外さないようにリーダーを取ります。リーダーを取るくらいの時にはキャプテンはデッドスローで、前進を入れましょう。そうすることによって、カジキも一緒に進行方向に泳ぎます。ボートの下に入らなくなります。リーダーマンは決して力いっぱいにカジキを引き寄せないように心がけましょう。リーダーを持ってカジキがジャンプしている写真を見かけますが、それはけっしてよい事ではないと思います。カジキを暴れさせないことが大切です。極細のワインドオンリーダーは手に巻かないほうがいいのでリーダーを取って送ってスピニングに巻き込んでもらいます。ナイロンリーダーは手に巻いてもいいですが巻き方を間違えないようにご注意ください。