フィールドレポート カジキマグロトローリング ビッグゲームルアーズ
フィールドレポート カジキマグロトローリング ビッグゲームルアーズ
Vol.7 「5年目の暑い夏 BIGCATCH in big summer ・・・Capt. Makino」
byビッグキャッチ牧野様 (2005.9.29up)
「 昨年までさほどカジキを釣りたかったわけではなかった。
でも、今年の夏はなにかが変わった。 」
・・・Capt. Makino


8月17日 晴れのち曇り

「くっそ〜・・・。」

しばし船上で空を見上げ放心状態だった。

先週から数えれば4回の出船で7回のヒットし、3回ラインブレイク。
その内2回ファイトし船尾でジャンプされ目の前でラインブレイク・・・・。
数少ないルアーまで3個もカジキに取られた。

くやしい・・。

僚船も、先日ファーストマーリンをあげた。
無線でも、ランディングの声を聞くたびに、
くやしさと、熱い気持ちがめらめらと燃えてくる。

「チクショー、こんな気持ちで仕事なんかしていられるか!」

男の意地が、熱い病気が、止まらない。
仕事は深夜にまわして、出航の予定を組む。

休日はもちろん毎日出航。

陸にいる日のほうが少ない。
こんなに熱くなった夏は初めてだ。

でも・・・カジキは・・・と・お・い。



ランディング出来ないまま盆休みも空け、
心は空白だった。

仕事にも切り替えができず悶々としていたところ
17日に友人の船が100kのカジキをランディング、
しかもシングルハンドで・・・。

俄然、むらむらと闘志が沸いてきた。

「よ〜し。俺だって釣ってやる、一人で!」

と言いつつクルーに電話しまくるも全員が冷たい返事、
当たり前だよね、お盆明けだもん。

そこでいよいよしょうがない、シングルハンドで釣る段取りを
頭の中で整理し考えめぐる。


「よし、ヒットしてフックアップしたら浜名湖まで引きずり込む。」

ようやく考えがまとまり、夕方からマリーナに向かい用意を始める。

とりあえずリーダーシステムの変更。

ダブルライン2メートル、
クランキングリーダー5メートル、
リーダー2.5メートルに変更。

ルアーの選定。

明日のポイントの選定をしていると一人のクルーから電話あった。

飛んで火に入る夏の虫・・・・。

「へへへ・・・。明日暇?なわけない?
うん、うん。 9時なら来れる?
もうちょっと早くなんない?
・・・うん。うん。わかった。
じゃあいいよ。」

何とか一人確保。

「9時か〜・・・。朝の時合、間に合わんな〜。
しょうがないか、昼いっぱつ勝負じゃ!」

みんなクルーには苦労してんだろうなぁ・・・。
俺なんかまだ良いほうだ。
と納得して明日の段取りを終了する。

すでに夜7時を過ぎ、あたりは暗くなっていた。

「よし、明日は少し遅いからこのまま飲みに行こ〜っと!」

本当に闘志が沸いてるの?
8月19日 晴れ、雷雨予報あり。

朝6時起床。

7時30分マリーナ到着。

他船がカジキ狙いで出港するのを尻目に準備に取り掛かる。

8時準備完了。
朝食を取りながら腕時計に目をやると8時半。

「まだかな〜。」
クルーが来ない・・・。

9時クルー到着、めでたく出航。

今回のクルーはカジキ釣りが初めてのため、
注意する事、ヒットした時の段取り、リールの取り扱い説明をする。
ドラグはヒットポイントで7キロに設定。
ヒットしたら9から10キロ位まで締め込むレバーの位置も確認。
アフトデッキの片付け段取りも指示する。

今切れ 9時40分通過。

水温24,3度。

本日のポイント20、25。

舵を200〜210に向ける。

10NM位まで沖だししたところで、ようやく沖からの船の無線が入る。

「今日はどうだろうか・・・。」
無線のやり取りに耳を傾ける。

あれ〜?
どこかで聞いた声・・・・。
仲間のO艇とA艇の無線が聞こえてくる。

え〜・・・。
今日出航してるの〜!?

俺、な〜んにも聞いてないしー。

「くそ、無視しやがって・・・。」
「土曜日しか出船せん、とか言ってたし抜こうと言う魂胆。
ゆるせん!
よ〜し、おらが先に釣ったるで〜。」

と思いつつ無線に割り込み状況確認。

「こちらJQ2−FARビックキャッチ!
そちらの状況如何ですか?」

「ああ、遅い出航だねぇ〜。
昨日の場所じゃ潮が無いよ。もっと沖だししな。」

南北22分を過ぎたあたりから良い潮が入りだす。

10時40分 トローリング開始。

南北21、東西22分。

水色良好。

水温27,2度。

「よっしゃぁ〜。戦闘開始じゃ〜。」

ショート3波〜4波に乗せるように動きの良いルアーを一本。(トップガン中)
その後ろにちょっと大きめで大人しいルアーを一本。(ヘッドに黒鳥貝)
アウトリガーにそれぞれ白蝶とアワビを流す。
合計4本

先ほどのO艇とA艇はどうやら帰り支度の様子。

「おいおい、ちょっと待ってよ。こちとら今流し始めたとこジャン。
ほんとに年寄りは朝早くて、気が短いからショウガナイ・・・。」

無線で連絡すると
「もうカジキの時会いは過ぎたでぼちぼち帰るよ〜。」との事。
「はいはい。僕らは昼の時会いマデ頑張ります。
お気をつけてお帰り下さい。」

前方に潮目発見。

鳥もちらほら見え始める。

ウン、ウン、良い感じ。

10時の方角でカジキジャンプ!

10ノットでエリアに走りこみ、
8ノットに船速ダウン。

そのまま潮目に突っ込む。

11時00分。ラチェットがうなりだす。

「え!なんだこりゃ・・・!! 何処にヒットだ?」

アウトリガーが大きくしなっているが、 リリースピンが外れない。

そればかりかショートで引いていたリールが激しく響きラインが出される。


「ダブルヒットだあ!」


10秒ほどGOを駆け様子を見る。

3〜400メーター後方でカジキが跳ねる。

一回、二回、三回。

その時ショートで引いていたトップガンがバチンという音とともにフリーになる。


ラインブレイク!

すぐさま他のロッドを片付けファイティング準備に取り掛かる。
11時15分

400メーターほど出された所でラインの出が遅くなりやっと走りが止まる。

様子をしばらく見極め、ドラグを最初のヒットポイントに戻す。

準備完了。

フックアップも完璧。

戦闘開始じゃ〜。

それでも心配のため僕がアフトデッキに下りてロッドを大きくあおる。
よし完璧じゃ。あせらずゆっくりファイトしましょう。

クルーがハーネスを付け戦闘開始。

「もうラインブレイクは嫌じゃ〜。ゆっくり寄せて来い。無理はするな。」
と指示を出す。
11時30分

200メーター程寄せた所でまた大きくジャンプ、ジャンプ。
ラインが大きく出される。

奴が右舷前方に走り出したので船を少し走らせ
アングラーとカジキが直線になるよう調整する。

ラインが出された後は糸ふけの可能性があるので
常にリールが巻けるようなら巻いて、
ラインに常にテンションが掛かるよう指示を飛ばす。

巻いては出され巻いては出されの繰り返し。
アングラーは右手を振って疲れを取りまた巻き始める。

「頑張ってくれよ〜。」

11時45分

大きな引き込みは無くなったが、
今度はロッドからラインが鋭角に海面に突っ込み始めた。

「潜り始めたな〜。奴もなかなか頭がいい。」

そして今度はラインのテンションが軽くなる。

やばい、突っ込みながらこっちに走ってくる。

クルーに「船を走らせるぞ!」指示を出し50メーター程船を前方にだす。

「よしよし、残り100メーター。絶対30メーター以内には寄せんぞ。
ファイトから30分、まだ早い。」

先週、船べりまで30分で寄せてラインブレイクした事を思い出し、自分に言い聞かせる。

12時00分

奴が潜り、ラインがジッジッと少しずつ出たら船をスローで出し、
30メーター程寄せてはまた船を出すのを繰り返し、様子を見る。

いよいよカジキの姿が見えてきた。

30メーターまで寄せた所でそれ以上寄せないよう指示を出す。
船をデッドスローで出し奴の様子を伺う。
ラインを出す気配が無い。

腕時計に目をやると12時を過ぎたとこ。

「よし、ランディングするか。」
12時15分

クランキングリーダーをセットしていたため
アングラーは右舷側にダイレクトにカジキをゆっくり寄せ、船足を止め、
僕はアフトデッキに降りリーダーを掴みギャフ撃ち。

その間アングラーはロッドをホルダーに置かないよう指示。
いつでも走られても良い体制で待機。

無事ライディング。

やった!!

胸の中につかえていた、熱くよどんだ気持ちが心地よい充実感に変わった。
12時30分



カジキをアフトデッキまで引き込むのが一苦労。
男二人でもちょっと辛い。
船に全部入りきれずテールを出したまま帰路に向かう。

二人で船上にて乾杯。



やっと記念撮影。
二人じゃ撮影する暇も無いもの。
綺麗なお姉さんでも乗っていればギャフ撃ちの瞬間が撮れたのに・・・。

ふふ、くだらない冗談を言う余裕ができた!

ボカーしあわせだなー・・・。(加山雄三かっ!)
こんな熱い思いをさせてくれた、海とカジキとマイボートと、
僚船の諸先輩方々や、クルーの皆さんに感謝。

次回も遠慮無く釣らして頂きます。

ヒットルアーは Salt Water House http://www.salt-w-h.co.jp/ のアワビ貼でした。

2005年 8月19日
ビッグキャッチ キャプテン 牧野哲郎
  クルー 鈴木啓之
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